家づくりの情報について、インターネット上では規模やアクセスの大小いろいろありますが、様々な方が発信されています。
今現役で家を建てていらっしゃる方のブログもありますし、すでに建てた人、これから検討する人などなど様々な立場の方が自らの経験や想いを発信してますね。
加えて、最近ではInstagramなどのSNSやYouTubeでも家のことを発信する方も増えています。
一方で、これらメディアを通じて発信している方には施主に限らず工務店の方やハウスメーカーの中の方、現場で働く職人さんもいらっしゃいます。
今回は、様々な方が住宅情報を発信する中で、施主が情報発信する意義について主観的に思うところを書かせていただきます。
はじめての頃は何も分からない
このブログは家のことなど何も知らないまま勉強もなにもせず、いきなりハウスメーカーとコンタクトを取り、そのまま契約に至った楽天家が書いてます。
家づくりを検討し始めた当初は鉄骨と木造の違いもわかってなくて、1社目にコンタクトしたハウスメーカーが木造も鉄骨も両方やってたのですが、そのハウスメーカーの大型展示施設見学後に営業マンから「鉄骨と木造のどっちがイイですか?」と聞かれても、何がどう違うか分からん、としか言いようがありませんでした。
なにしろ案内された施設見学を経ても鉄と木の違いについては単に破断に対する強度が異なるくらいしか説明はなく、それはこれまでの人生で感覚的にはわかっていたものを数値で知らしめてくれたに過ぎませんでした。
その数値もまたウチは素材の強度を一定レベル以上に確保してますよ、というだけの内容であり、鉄と木の数値を単純比較するわけではないものでした。
せっかく鉄骨と木造の双方で強いブランド力を持っているのに、その違いを対比説明して頂けなかったのは非常に残念でした。
此方が家のことを何も知らずにいたことに加えて、営業マンが駆け出しで経験値が少なかったことも要因でしたね。
今となっては、彼がプロの観点からワタシの家づくりで気になりそうな点を抑えて、鉄骨と木造のメリット・デメリットをうまく伝えて来れたらよかったのだろうと思えます。
工場見学というハードだけを提供して、豪華なお土産を頂いて、さぁ鉄骨と木造のどっちがイイですか?って言われても、大して何も心に残らなかったのでした。
家を1軒なんとか建てられた今なら、鉄骨と木造の違いに対して以下のようなアドバイスができます。(認識の間違いがあるかもしれませんが。)
- 一般論で言うなら気密断熱を取るなら鉄よりも熱伝導率の低い木造の方が良い。しかし、鉄骨でも断熱材や外壁材などによっては優れた気密・断熱性を発揮できる。(当該HMが気密断熱でどこまで頑張ってるのかは存じ上げないため、一般論にしました。)
- 躯体の強靭さに加えて制振装置の付いている鉄骨は揺れに強く耐震性の期待が出来るが、木造も基礎と柱の固定方法を工夫することで十分な耐震性を得ており、1棟ごと当局の検査をクリアしたお墨付きを得ている。
- 室内の意匠や間取りに於いては鉄骨も木造も大して変わらない。(2x4の垂壁など意匠に現れるものもありますが。)
以上のことを踏まえて好きな方を選んでくださいって言われたら、事前知識も何もない状態で鉄と木のどっちがイイかって聞かれるのに比べてはるかに選びやすいですよね。
家づくりは勉強
ワタシの場合は自分自身の家づくりを通じて様々な施主さんやプロの方々と交流させて頂き、自分ごととしてある程度知見を蓄えさせて頂いた結果、上述の例のような理解がようやく出来るようになりました。
施主同士でのサポートや情報提供に随分と助けられたものです。
本当は、こんな施主同士のサポートも何もなく、ポンと買うだけで望んだとおりのものが手に入ればいいのですが、残念ながら家づくりはそのような買い物ではないなぁ、勉強が必要だなぁとつくづく感じます。
一方で、施主間の情報サポートはありがたいとは申し上げましたが、施主は施主であり専門家でないことを謙虚に意識した発信をされるべきかと思いますし、受ける側もあくまでもそれは素人発信であることを認識するべきです。
その理由は、多くの施主がn=1の世界での経験談でしか話してないし、むしろ建てる前から発信しているn=0の場合すらあるからです。
また、家族構成、生活環境などなどありとあらゆる条件が、施主間で異なります。
従い、ワタシにとって大切だと感じていることが、他の施主にとっては別に大した問題とは考えてないことは往々にあります。
例えば、ワタシが山形県の雪深い町に居たら、きっと耐雪性や雪おろしのやりやすさが気になるでしょうが、室戸岬の近くに住んでいたら全然問題とは感じませんが、逆に暴力的な台風への強さや南海地震への対応が気になるでしょうね。
ここであげてる2つの例も、東京に住んでいるワタシは、どちらも大して気にしてもし過ぎる問題ではありません。
善意の誤った情報ほど困ったモノ
世の中には善意で教えた/教えてもらったことが、実は間違った内容だった、という事がよくあります。
井戸端会議的なところでの議論には、専門家の看板を背負いながら真っ昼間からテレビに出ている余裕のある人の話をしたり顔で芸人がガヤガヤやってるテレビの受け売りなんて例もあります。
妻の親戚が相続関連の話の際に全く法律と異なる理論をぶつけてきましたが、そのソースはパート先のおばちゃん仲間がテレビで昔見たわよ〜って話ですって。
そのおばちゃんは全くの他人なので実は法学部卒の弁護士資格を持っている方かもしれませんが、おそらく、そんなことはないでしょう。
家の話でも同じですね。
親や親戚からの横やり、YouTubeやらブログやらで素人の発信している情報は不確かなものが多いです。
親が家を建てた数十年前のもはや化石のような理論を振り撒いてきたり、玄人ぶった素人がしたり顔で発信してきても、家のことを考え始めた時にはそれが正しいのかどうか分からず鵜呑みにせざるを得ない時もありますよね。
たとえ善意で発信された情報であっても、誤った情報に踊らされてしまう側は時として迷惑を被ることとなります。
利害が発生すると、大変なことになります。
家族間や井戸端会議レベルなら誤魔化しもききますが、ネット上などで不特定多数に発信している場合は、もし間違いの指摘が入った際には謹んで訂正することが必要ですね。
訂正して頂けると、発信者自身も正しい知識を得られてひとつ賢くなれます。
それを活かして、新たな発信に繋がれば良いのです。
指摘してくれて有難うくらいの気持ちで居ればいいのですが、意固地になって自らの誤りを認めない場合、この発信者の発言そのものが他の内容では正しくても信用に欠ける印象を持たれる恐れもあります。
プロの情報発信、施主の情報発信
まず、家づくりのプロはプロの観点から看板背負ってグイグイご発信戴ければ良いと感じます。
それは、プロにはプロにしか発信できない内容があるからです。
具体的な数値を持って発信者の工務店の施工レベルの高さをアピールしたり、最新技術の紹介をしたりすることはプロにしか出来ません。
我々素人は、いくら真似事をしてもプロのそれには追いつけませんよ、場数や情報量が違いますからね。
しかし、一方でプロには書けない情報を我々施主は持っています。
- さまざまな会社のサービスを比較検討すること。
- 家づくりに於ける気持ちの変化。
- 限られた予算内における取捨選択。
- 作り手に対する想い。
- 実際に住んでみての感想。評価。
- 家とともに育つ家族の話。
ワタシは家づくりお楽しみブログを公言するほど、このブログで家づくりを楽しむ内容としたつもりです。
書き始めた時のきっかけは、度重なる打ち合わせでヒィヒィ苦しんでた時の負の感情が大きかったですけどね。笑
いざ工事が始まると毎日家が出来上がってゆく様は本当に楽しかったですし、職人さんとのお付き合いも非常に楽しめました。
このような話はプロにはなかなか書けないことと思いますし、プロの方が発信するよりワタシのような施主が発信した方が後々家づくりをされる方々も安心されると思います。
様々な情報に手軽にアクセスできる時代ですからこそ、受け手は賢く情報の取捨選択をして、自分にとっての最良の選択に結び付けたいものですね。